オリーブオイルというのは日本とその他のオリーブオイル原産国ではルールがかなり違っている。
なのでエキストラバージンオリーブオイル(EVOO)と表記されてはいても、本来ならばEVOOのレベルの品質では無い物が多く出回っている。
つまりほとんどがニセモノのEVOOということ
- 本物のエキストラバージンオリーブオイルを買うにはどうしたら良いのか。
- また、本物でなければならないのはなぜ?か。
- ラベルの表記を見ただけでは知ることのできない、もすこし深いところは実際どうなってんの?
そんな事を知って、本物を買う必要性も知ろうという内容。
この記事では
- IOC(国際オリーブ協会)のランク基準
- 日本のオリーブオイルに対する基準
- オリーブオイル裏話
- 安全性について
- 本物の見分け方
などが理解できて「エキストラバージンオリーブオイルがどれほど高品質なのか」を知ることができる。
オリーブオイルのランク基準
オリーブオイルは成分、製法によって、実は細かくランクが存在する。
IOCというヨーロッパにある協会が決めているのだ。
IOC加盟国の中では、ね。(日本は非加盟だから関係ないフリしてる)
IOCというのはヨーロッパにある国際オリーブ協会のこと。
オリーブの生産国の97%が加盟していると言われるところだ。
オリーブの本場ヨーロッパやその周辺で、オリーブに関する事を牛耳ってる(笑)のがココ。
なんか悪そうなニオイがしてきたな。オリンピックのIOCでは無いよ。
そして、日本はIOCに加盟していないので、
オリーブオイルの規定が
- オリーブ油
- 精製オリーブ
の2種類しか存在していない。
だから日本では
「エキストラバージンオリーブオイル」なんて、勝手にいくらでもラベルに表記できる。
エキストラバージンオリーブオイルの規定がない日本って。。。
ずるいよね。
エキストラバージンのイメージが、ね…。
まぁそれはそれとして、IOCが決めているオリーブオイルのランクの話し。
IOCでのオリーブオイルのランク
ランク | 酸度 | 備考 | |
---|---|---|---|
VOO(1番搾り) | エキストラバージン(EVOO) | 0.8%以下 | 味・風味に全く欠陥が無い |
バージン | 2.0%以下 | 若干風味欠陥あり,日本では非食用 | |
オーディナリーバージン | 3.3%以下 | 風味に複数の欠点,日本では非食用 | |
ランパンテバージン | 3.3%以上 | 非食用 | |
精製オリーブオイル | 精製オリーブオイル | 0.3%未満 | VOOから化学的に精製されたもの |
ピュアオリーブオイル | 1.0%未満 | 精製オリーブオイルとVOOのブレンド | |
ポマースオイル(二番搾り) | 未精製オリーブポマースオイル | 1.0%未満 | 搾りカスから溶剤で抽出、非食用 |
精製オリーブポマースオイル | 0.3%以下 | ポマースオイルの精製したもの,非食用 | |
オリーブポマースオイル | 1.0%以下 | 精製ポマースとVOOのブレンド,食用 |
かなり細かく分かれてる。。。
なので、「最高のヤツがエキストラバージンなんだな」という理解でもOK
でも一応説明いれよう。
バージンオリーブオイル(VOO)というのは化学的な処理をしていない一番搾りのオリーブオイルのこと。
つまり、潰して絞って油を分離させるのをすべて物理的な方法でやっているという物だ。
1番搾りの中でも4種類あって、その1番上のランクがエキストラバージンオリーブオイル(EVOO)となっている。
参考までに、1番下のランクの二番搾りのポマースオイルたちはオリーブオイルとは呼ばないんだそうだ。
さて、これを見ると
「酸度が0.8%以下のバージンオイルなら高品質なんでしょ?」
って思うかもしれないが、そんな簡単な話ではない。
むしろ、消費者にそう思わせる事でが悪いヤツが得をしている感じ。ダマされないで。
「悪いヤツ」って話しは後で書くよ。
単純に酸度だけの話しで言ったら、化学的に精製された
- 精製オリーブオイル
- 精製オリーブポマース
とかも酸度は低い。
精製されたオイルを内緒で混ぜられてたら、この数字は意味無くなっちゃうと思わない?
その辺にカラクリがある。
さぁ、そして日本のJAS規格をザックリ見ておくとこうなっている。
酸価(mg) | 酸度で換算 | 原材料 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
オリーブ油 | 2.0以下 | 1.0%以下 | オリーブ油以外のものを使用していないこと | オリーブ特有の香味を有していること |
精製オリーブ油 | 0.60以下 | 0.30%以下 | オリーブ油以外のものを使用していないこと | 香味良好であること |
既に書いた通り、日本では食用オリーブ油はオリーブ油と精製オリーブ油の2種類だけだ。
エキストラバージンという規格は無い。
そして、
JASは酸価という単位で規格が決まっている。
酸価の数値に×0.503をすると酸度の数値になるそうなので、横に換算した数値を書いておいた。
バージンオイルに関しては日本の方が規格がユルくて、精製オリーブオイルに関してはIOCと同程度の基準になっている。
オリーブオイルの酸度だけ見ていてもダメ
ネットでは
「ラベルをよく見て酸度がいくつなのか確認しよう」なんていう記述をよく見たりする。
これは全くのウソだ。
一般の消費者がラベルの酸度しか見ないで、高品質のオリーブオイルを判断できるだろうか?
ムリ!無理だから。
酸度だけ見ても高品質のオイルかどうかは判断できない。
これはたとえプロだとしても無理。
とうぜん、素人が判断できるようなものではない。
ではなぜオリーブオイルの酸度で判断できないのか?
こんな話がある。
酸度が0.3%以下でも高品質のオリーブオイルはほとんどない
カリフォルニア大学デービス校(UCデービス)のオリーブセンターの研究で、おもしろい話がある。
酸度が0.3%以下の一見優秀に思えるオリーブオイルの89%は官能試験で不合格だった。
「そのオリーブオイルは偽物です」から引用
もしも、酸度が0.8%以下の物が高品質のエキストラバージンであるならば、0.3%以下の商品で、たったの11%しか合格できないなんてことはあり得ないだろう。
つまり、商品ラベルで確認できる「酸度」というのは美味しいかどうかの参考には全然、まったく、少しも、ならない。
たとえウソの表記でなかったとしても、酸度を確認しただけではわからないのだ。
「酸度」は美味しいかどうかの目安にはなりません!
大事なので2度言ってみた。
ということで、酸度が低い自慢をしている商品にも、風味の欠陥が少なからずある可能性が大(エキストラバージンというのは風味の欠陥が一つもないこと、と規格で決まっている)。
そもそも、この酸度0.8%以下っていうIOCの基準はかなり甘い基準なんだって。
0.8%以下という基準では、かなり駄目なオリーブオイルでも通過してしまうというザル基準ということだ。
そして、0.3%以下のオイルですら、官能試験では合格できないという現実。
IOCも官能検査はしている
数字がザル基準で、あてにならないとはいえ、実はIOC規格では官能検査というのもある。
エキストラバージンオリーブオイル(EVOO)は本来、「味・風味に全く欠陥がないもの」とIOC基準で決まっている。
なので、味わって判断をする必要があるという事だ。
ところが、というかなんというか、官能検査はIOC認定のテイスターが実際に風味を味わって評価をするらしいんだが、これも人がやっているから、
パスするはずの無いおかしな風味のオイルがいつの間にかEVOOになっているというのが現実。。。
オイ!
ワイロか?賄賂なのか?!
聞く所によると、オリーブオイルのコンテストでも票を買うというような、不正がまかり通っていたりするというので、官能評価があてになるのかならないのか。。。
なんともビミョー。
要するに評価をちゃんと公平、公正にやっているコンテストの結果でないと信じられないということになる。
「そんな公平公正なコンテストは知らねーわ!」って思うかもしれないが、日本に住んでいるアナタはムッチャラッキー。
本物を見分ける方法はコンテスト
信頼できるコンテストの受賞銘柄を選ぶこと がただ一つの本物を見分ける方法だ。
オリーブジャパンという世界で唯一、オリーブ関係の企業や政府、業界団体、政府間組織とズブズブになっていないコンテストがある。
だから本物のエキストラバージンを買うなら、このコンテストの受賞銘柄から選べば間違いない。
素人が見分けるにはこの方法しかないのだ。
さらに言えば、
- 値段が高い
- 瓶が遮光性になっている
- 産地認証マークある
- 原産地が書かれている
- オーガニックのマークがある
- 有名なオリーブオイルの会社が作っている
- シロートでも味見すればわかる
などというのは全くあてにならないウソ基準だと思って良い。
という事で出来レースではないオリーブジャパンというコンテストであれば、受賞品の中からオリーブオイルを選ぶと安心なわけ。
物凄く単純、むちゃくちゃシンプルで良い。
オリーブオイルの成分と安全性
さて、オリーブオイルっていいよ~って聴くけど、
「いったい何が入ってんの?」
っていうことで調べてみた。
IOC(国際オリーブ協会)では成分検査をして、脂質の基準が決められている。これに適合していることが求められる。
ちなみにオリーブオイル100g中、脂質は100gなのですべて脂質だ。
脂肪酸 | 含有量(%) | 脂肪酸の種類 |
---|---|---|
ミリスチン酸 | 0.03以下 | 飽和脂肪酸 |
パルミチン酸 | 7.5~20 | 飽和脂肪酸 |
パルミトレイン酸 | 0.3~3.5 | 不飽和脂肪酸 |
ヘプタデカン酸 | 0.3以下 | 飽和脂肪酸 |
ヘプタデセン酸 | 0.3以下 | 一価不飽和脂肪酸 |
ステアリン酸 | 0.5~5 | 飽和脂肪酸 |
オレイン酸 | 55~83 | 一価不飽和脂肪酸 |
リノール酸 | 3.5~21 | 多価不飽和脂肪酸 |
リノレン酸 | 1以下 | 多価不飽和脂肪酸 |
アラキジン酸 | 0.6以下 | 飽和脂肪酸 |
ガドレイン酸 | 0.4以下 | 多価不飽和脂肪酸 |
ベヘン酸 | 0.2以下 | 飽和脂肪酸 |
リグノセリン酸 | 0.2以下 | 飽和脂肪酸 |
参考:IOCオリーブオイル基準
なんか種類多すぎて、ワケワカメだが、多いのはパルミチン酸、オレイン酸、リノール酸だ。
ところで、みんなが気になるカロリーについては、大さじ(15cc)で考えると
15ccでオリーブオイルは12gなので、脂質の1g当たり9kcalを掛けて
- 12(g) × 9(kcal) = 108(kcal) くらいになる。
IOC基準ではトランス脂肪酸含有量も決まっている
さらに、このごろ問題視されているトランス脂肪酸についても含有量が決まっている。食の安全性という意味でトランス脂肪酸はけっこう気になるところ。
ヨーロッパではかなり気にされているみたいだよね。
トランス脂肪酸は血中の悪玉コレステロールの増加、善玉コレステロールの減少を起こし心臓病のリスクを高めると言われている。
下の表の単位は%。
オリーブオイルの種類 | C18:1 T | C18:2 T+C18:3 T |
---|---|---|
食用バージンオリーブオイル | 0.05以下 | 0.05以下 |
ランパンテバージンオリーブオイル | 0.10以下 | 0.10以下 |
精製オリーブオイル | 0.20以下 | 0.30以下 |
この表で、ランクが一番高い食用バージンオリーブオイル(VOO)は、トランス脂肪酸の含有量基準が一番低い値、ランパンテバージン、精製オリーブオイルになるにしたがって高くなっている。
これだけみてもよく分からないので、他の食品と比べてVOOのトランス脂肪酸含有量はどうなのかってことだけど、
だいたい牛乳と同じくらいの数値だ。つまり気にしなくてよい。(参考までに他の植物性油脂の平均は1.4%程)。
そもそもこの含有量の基準は上限だからオリーブオイルの場合、最大でもこの数値ってことになる。
トランス脂肪酸の含有量はマーガリン(含有量は7%ほど)の場合などと比べるべくも無いが、トランス脂肪酸がすごく気になっている人は本物のVOOを摂った方が良いだろう。
いずれにしても、オリーブオイルは脂質が含まれる食べ物の中で、トランス脂肪酸含有量はかなり少ない部類と言えると思う。
健康に良いと言われる脂質なんだから、あたりまえかもしれないけど。
もしもあなたが、マーガリンやマヨネーズ食べてるくらいだったら、むしろソレの方を気にしてちょうだい。
ちなみに日本ではトランス脂肪酸に対する表示義務や濃度に関する基準は無い!(農林水産省のすぐにわかるトランス脂肪酸)
トランス脂肪酸の基準ないって… オイ、日本!
ということで、以上 オリーブオイルのランクと成分 トランス脂肪酸含有量は?という話しでした。
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