オリーブオイルは、「脂肪は体に悪い」と言われていた説を葬り去った、健康に良いと言われる脂質(脂肪)だ。
なかでもエキストラバージンオリーブオイル(EVOO)が良いと言われるのだが、具体的にどういった効果があるのだろうか。
- 高カロリーなのにダイエットにも効く?
- 血管の病気に効果がある?アルツハイマー病にも?
などという、「ホントか?」
と思うようなことについても論文などで調べた。
オリーブオイルはダイエットだけでなく、その他の意外な健康効果もたくさんあるのだ。
オリーブオイルで健康に効果がある と言われるもの
オリーブオイルは美味しいからというよりもむしろ、健康に良いという事で近年注目を浴び始めたのではないだろうか。
それもそうだろう、あんまり美味しいのはそこら辺で売ってないし。
事実、美味しくて高品質の本物のオリーブオイルはほぼ出回っていない。残念ながら。
8割以上がニセモノの低品質の偽装EVOOと言われるので、日本であまり見かけないのもしかたないと思う。
まぁそれは今回は置いておいて。
「地中海式の食事がどうやら健康に良いぞ」
という事が欧米で盛んに言われ、その中でも特に注目されているのがオリーブオイル。
具体的には何に効くのだろうか。
たくさん良い効果があると言われていることに改めて驚く。
- ガン
- 心臓病
- 酸化ストレス
- 血圧
- 糖尿病
- 肥満
- 脳卒中
- 骨粗鬆症
- アルツハイマー病
- 脳の老化
- 鎮痛作用
体に良すぎじゃない?
それぞれ下に説明を加えたので、見てみてほしい。
脂質なのに健康に良いのはポリフェノールのおかげ
オリーブオイルはオレイン酸という一価不飽和脂肪酸(不飽和脂肪酸の中の一つ)が多く含まれている。だいたい全体の80%ほど。
オレイン酸は血液中の悪玉コレステロール(LDL)を下げる(厚生労働省のサイト)効果があることがよく知られている。
また他にも、EVOOには多くのポリフェノールが多く含まれている。
苦味や辛味を感じるのはそのため。(逆に言えば、苦味や辛みが苦手な人はピュアオリーブオイルの方がよいのかもしれない)
オリーブオイルの健康効果はオレイン酸だけでなく、このポリフェノールからももたらされる。
したがって、エクストラバージンオリーブオイル(EVOO)よりも低いグレードの、精製されたオリーブオイルに、健康効果はほとんどないと言われる。
オリーブオイルの健康効果を期待するなら、必ず本物のエキストラバージンオリーブオイルを使ってほしい。
オリーブオイルに含まれる代表的ポリフェノール
- オレウロペイン
- オレオカンタール
- ヒドロキシチロソール
- ルテオリン
- チロソール など
聞きなれない名前のポリフェノールたちだが、名前よりもどんな効果があるのかが重要だと思うんで、エキストラバージンの効果を見てちょうだい。
オリーブオイルで効果があると言われるもの
オリーブオイルの健康効果は本物のエキストラバージンオリーブオイルだからこそ得られるので、そこんとこよく覚えておいてほしい。
その辺で売っているニセモノのオリーブオイルじゃダメ。
オリーブオイルでガン細胞を
2015年にラトガース大学とハンター大学の研究者によって発表された研究では、 エキストラバージンオリーブオイルの成分がガン細胞を殺すことができることが証明された。
オリーブオイルに含まれる植物性栄養素であるオレオカンタールは乳癌など一部のガンとその再発のリスクを減らすことができるのではないかと言われる。
ただし、上の実験は生きている人間に発病しているがん細胞ではなくて、研究室で培養された人間のがん細胞に対して実験したもののようだ。
他にも、EVOOを適度で定期的な摂取は 乳がんを含む特定の種類のがんの発生率が低くなると言われる。
オリーブオイルは心臓病のリスクを下げる
オリーブオイルは、総血中コレステロール、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、および中性脂肪のレベルを低下させる。
同時に、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の保護をし、悪玉コレステロールの除去を刺激するという効果があるそう。
難しいが、要するに動脈硬化を起こしにくくしてくれるということ。
ちなみに、ロンドンの心臓病専門医に心臓病患者のためにオリーブ油を使った高脂肪食を促進している人がいるそうだ(ニューヨークタイムズ)。
たしかに、低脂肪食品は心臓病のリスク回避には全くならないという話しもあって、むしろキチンと脂肪を取った方が良いと最近では言っている研究者が多い気が。
最近読んだ本では(なんていう本か忘れた)砂糖と過剰な炭水化物が心臓病の最大の原因で、脂肪は犯人ではないという事が書いてあった。
まぁそれはそうと、オリーブオイルは血液の状態を改善し、心臓病のリスクを低減する働きがあるということ。
オリーブオイルで酸化ストレスを軽減
オリーブオイルには抗酸化物質、特にビタミンEが豊富で、ガンのリスクを少なくすると考えられている。
植物油の中で、オリーブオイルは、体内で酸化しない一価不飽和脂肪が最も多く、酸化する種類である多価不飽和脂肪が少ない。
2010年、肝臓の酸化ストレスを軽減する(チュニジア・モナスティール大学の研究)働きがあることが発表されている。
ちなみにチュニジアはオリーブ生産量が世界で7位(2017年)でオリーブオイルの輸出も多い。
オリーブオイルが血圧を下げる
最近の研究では、オリーブオイルの定期的な摂取が血圧の低下に役立つことがわかっているそうだ。
2000年に実施された研究で、6か月間の23人の高血圧患者による30~40グラムのEVOO(エキストラバージンオリーブオイル)を毎日摂取すると、ひまわり油よりも血圧(収縮期および拡張期の両方)の低下に効果的であることがわかった。
実際、参加者の35%は、6か月間毎日EVOOを摂取した後、高血圧治療薬を止めても良いことになったそう。
他の研究は、ひまわり油、大豆油、ポリフェノール含有量の少ない精製オリーブ油と比較してポリフェノール含有量の多いEVOOが血圧の低下により効果的であることを発見している。
オリーブオイルは糖尿病に良い
オリーブオイルが豊富で、飽和脂肪が少なく果物、野菜、豆類、穀物からの炭水化物と水溶性食物繊維が適度に豊富な食事を摂ることが糖尿病患者にとって最も効果的な方法であることが実証されているとのこと。
オリーブオイルはLDL(悪玉コレステロール)の低下を助けながら、血糖値を下げ、インスリン感受性を高める働きがある。
このブログでは何度も言っているが、インスリン感受性が高まると肥満にも有効。
オリーブオイルに含まれる抗酸化ポリフェノール化合物であるチロソールがベータ細胞機能障害から保護できるかどうかを調査。研究者は、チロソールが実際にベータ細胞ERストレス誘発細胞死から保護することを発見し、インスリン抵抗性と糖尿病を改善するための治療薬として探索されるべきであることを示唆しました。
ヤセる脂肪 肥満、ダイエットへの効果
カロリーが高いにもかかわらず、オリーブオイルはインスリン感受性を高め、肥満のレベルを下げるのに役立つことが示されている。
- 2018年スペイン・ハエン大学のオリーブオイルと体重に関するメタアナリシス
カロリーの足し算引き算だけで、太る痩せるを考えるのはだいぶ古い知識なので、この際オリーブオイルが高カロリーだけど痩せる効果があるという事を覚えておく必要がある。
オリーブオイルが脳卒中リスクを下げる
日常的にオリーブオイルを摂る人は、オリーブオイルを全く使用しない人に比べて脳卒中のリスクが41%低い事が、フランスの研究で明らかになった。
オリーブオイルのポリフェノールが骨粗鬆症を防ぐ
2013年、ヨーロッパ8か国の188,795人の被験者を対象とした大規模コホート研究では、地中海式食習慣を順守している被験者は股関節骨折のリスクが低いことが報告された。
オリーブオイルに含まれるオレウロペインは、骨髄幹細胞からの骨芽細胞(骨形成細胞)の形成を増加させ、脂肪細胞の生成を減少させることにより、骨粗鬆症および老化に関連する骨損失を防ぐ働きがあると考えられている。
年上の人へのプレゼントなどにエキストラバージンオリーブオイルを送るなんてのも良いかもしれない。
オリーブオイル成分がアルツハイマー病の治療薬候補
エクストラバージンオリーブオイルに含まれる主要なポリフェノールであるオレウロペインアグリコンを8週間マウスに投与する実験が行われた。
結果は、オレウロペインアグリコンの投与は、その他のグループと比較してマウスの認知能力を大幅に改善することが分かった。
また、オリーブオイルに含まれるチロソールは、植物由来の安全性の高いアルツハイマー病の治療薬候補になると考えられているそうだ。
オリーブオイルは脳の老化防止に
2016年、オーストラリアのメルボルンにあるスウィンバーン工科大学とディーキン大学の研究者チームは、世界各国で19歳から75歳以上の研究参加者を調査。
18件の研究のうち13件は、地中海式食事療法後の認知機能低下が遅く、アルツハイマー病のリスクが低く、脳機能が改善したと結論付けた。
オリーブオイル鎮痛作用も
オリーブオイルに含まれるオレオカンタールは鎮痛作用のあるイブプロフェンと同じ抗炎症作用があることが分かっている。
医学博士のAndrew Weil氏はオリーブオイルのテイスティング時に感じた喉の痛みと、イブプロフェンを飲んだ時に感じた喉の痛みが似ていたことから発見したという。
本物のエクストラバージンオリーブオイルでないとダメ
さて、日本中にあふれている、ニセモノのエキストラバージンオリーブオイル(EVOO)では、様々な健康効果は期待できないのだろうか?
答えはNo。ニセモノのEVOOでは健康効果は期待できないのだ。
なぜかというと、
- 偽物のオリーブオイルには何が入っているかわからないから。
- EVOOはポリフェノールの含有率が高いから。
オリーブオイルのニセモノを作るときには、中に安い油を入れて偽装したりすることが良くあるそう。
安い油ってのはひまわり油、ピーナッツ油、大豆油とかが多いらしい。
全然オリーブ油じゃないモノ入ってるよね?
大豆油とかが入っている「エキストラバージンオリーブオイルと称される物」でオリーブオイルの効果がバッチリあると思う人いる?
いないよね?
たとえ大豆油が50%入ってても、入ってます!なんてのはもちろんラベルには書いてない。
バレちゃ困るからね(笑)。
関係ない安い油をたくさん入れた方が儲かるので、偽装されたオイルには少なくない量の安い油が入っていると思った方が良い。
本物のEVOOは一番搾りの中でも最高のオイルで、化学的な処理をしていないオイル。
一番搾りだからポリフェノール含有が多い。
当然値段もある程度高い。
バージンオイルを絞ったあとの、いわば”搾りかす”からオイルを抽出しているものもあるのだが、これにはポリフェノールがほとんどない。
ということで、本物を偽装したような偽物のオリーブオイルでは健康効果は期待できないと思っておいたほうが良いだろう。
オリーブオイルの副作用・デメリット
クスリでも無いのに副作用ってのも変なんだが、オリーブオイルを摂ることで起こるかもしれない望まない作用も気になるので書いておく。
- アレルギー反応がある人もいる
- お腹がゆるくなる場合も
- オイルが古くなると変性してしまう
- ニセモノのオリーブオイルがある
アレルギー反応が出てしまう人は体質なので致し方ない、オリーブオイルはあきらめよう。
心配な人はアレルギーテストを病院でしてもらうと良いだろう。
お腹がゆるくなるのは、オレイン酸の作用で腸の便通が良くなるという作用が行き過ぎてしまった場合かもしれない。
これも体質によってゆるくなりすぎると思う人は、やめるか、本当のEVOOなのか確認することをおススメする。
本物なら程よく便通が良くなるだけかもしれないので。
そして、古くなると変性する点。
油は古くなると変性してしまう。
オリーブオイルは比較的変性しづらい油なので、他の油に比べるとそこまで心配がないのだが、やはりなるべく早く使いきってしまいたい。
せっかくのオリーブオイルの良い効果が期待できなくなってしまわないように、室温の暗い場所に保管して早く使おう。
ニセモノのオリーブオイルに関しては本物を買えばよいので、きちんとしたEVOOを買っていれば大丈夫。
大豆やピーナッツなどのアレルギーがあったりする人は、間違いなく本物のEVOOを使うべきだ。
エクストラバージンオリーブオイル健康効果まとめ
今回の記事をまとめると
- 高カロリーなのに太らない
- 肥満の予防に役に立つ
- 様々な健康効果がある
- 本物じゃなきゃ意味がない
というわけで以上、オリーブオイルの健康効果 痩せる脂質とはコレのこと という話しでした。
エキストラバージンオリーブオイルの持つ健康効果を美味しく実感してみて。
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